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橋之介のブリッジれぽーと

橋之介のブリッジれぽーと(17)


 

 

今日はお祭り
みなさん、お元気ですか。橋之介です。
まだまだ暑い日もあるけど、ときどき涼しい風が吹くと気持ちがいいよね!ボクたちクマは暑いのがちょっと苦手だから、秋が大好きなんだ。
きょうはね、近くでお祭りがあるからブリッジのあとでみんなと一緒にくりだす予定だよ。すんごく楽しみ!
ママ、必殺技を教えて~
 
「こんにちはぁ!」9月のある土曜日、ママの特製チャーハンのお昼ごはんを食べ終えてお皿を片づけていると、玄関の方から元気のいい声が聞こえてきた。そうだ、今日はママのブリッジレッスンの日だけど、ちょっと早めに集まろうって言ってたんだっけ。ボクったら、すっかり忘れてたよ!


あのね、今日はボクんちの近所でお祭りがあるの。それで、みんなで行こうってことになってるんだ。ママはお祭りに行くならブリッジはお休みにしましょうかって言ったんだけど、みんなお休みにはしたくないってことになって、ブリッジしてからみんなで出かけることにしたんだ。このごろみんな、ブリッジに燃えてるみたいなんだよ。もちろん、ボクもね!

 

 
ボクがあわてて玄関に迎えにいくと、みんな勢ぞろいしてた。エリーちゃんとカーチャちゃんは浴衣を着てるよ。ふたりともとってもかわいいなぁ。ボク、ちょっとドギマギしちゃったよ。
「橋之介、なにぼーっとしてんだよ!」ってホッキョク君に肩をつっつかれてボクはまっかになっちゃった。女の子たちはくすくす笑ってる。「ふたりともとってもすてきよ」ママがふたりをほめてくれたから、なんか助かったーって感じ。「だから、橋之介は見とれちゃったのね」あーん、だめだよ~。これじゃぜんぜん助けになってないよー。恥ずかしいなぁ、もう!
するとツキノワ君が、「いやいや、橋之介君じゃなくたって、今日のふたりにはだれだって見とれてしまいますよ」とすました顔で言ったので、みんな吹き出してしまった。ツキノワ君、ナイス!
ゲームかノーゲームか
 
ボクたちは大笑いしながらテーブルについて、ペア決めのカードドローをした。最初の抜け番はツキノワ君だ。ボクのパートナーはホッキョク君、相手はエリーちゃんとカーチャちゃんペアだ。最近はよくミニブリッジをしてたけど、今日はコントラクトブリッジの練習をするんだ。ちょっとドキドキだよ。ちゃんと覚えてるかな?ボクたちはさっそくボードからカードを取り出した。
 
図1
わー、ボク、17点もあるよ。すごいなー。Nでディーラーのホッキョク君はパス、Eのエリーちゃんもパス。えーっと、17点でバランスハンドのときは1NTでオープンするんだったよね。よしよし、ちゃんと覚えてたぞ。ボクは1NTでオープンした。Wのカーチャちゃんもパス、ホッキョク君は3NTとゲームをビッ ドした。その後、3人パスとなって、コントラクトはボクの3NTになった。ようし、ゲームだぞ!がんばらなっくちゃね。
 
カーチャちゃんからハートのJのリードが出てきて、ホッキョク君がダミーを広げた。
 

まずはプレイの計画を立てるんだよね。ぜんぶでいくつ取れそうかな?3NTを作るには9つ取らないといけないんだよね。ダミーにはりっぱながあるぞ。ボクがK Q Jを持ってるから、は負けなしで5つ取れるね。それから、クローバーのA とK。これで8個は取れて、あとはハートでひとつ取れればOKだね。カーチャちゃんがハートJを出してきたから、よし、ここはダミーからQを出してAを追いだすことにしようっと。
 
ボクがダミーからハートQを引くと、エリーちゃんがAを上がって、ハートを返してきた。ボクは2トリック目のハート をKで勝って、クローバーKとAを取った。あ、そうだ、 を取らなきゃね。 は9まで続いてるから大丈夫。ボクは、Kを取ってから次にQ を出してダミーのAで上がった。あれ?ダミーで勝っちゃったよ。こいつはちょっと具合が悪いぞ…。ボクは3巡目のを出したけど、今度は自分の手のJで勝っちゃった。7トリック目が終わったときには、次のようになっていた。ダミーのはよくなったけど、しょえ~、ダミーに入れないよう。どうしよう。
 

しかたないので、ボクはJを出してみた。すると左手のカーチャちゃんがこれにQをかぶせてきた。カーチャちゃんはQを勝ったあと、ハート1 0を取ってから、クローバーQ、7、6と続けて、最後にを出した。ボクは最後のAは勝てたけど、でひとつ、ハートでふたつ、クローバーで3つ負けて、2ダウンになってしまった。
 
「おいおい、橋之介、なにやってんだい。まだふたりに見とれてたのか?」ホッキョク君が口をとんがらせた。「ごめん!取る順番をまちがえちゃったみたい」ボクはホッキョク君にあやまった。
「あらあら、ブロックしちゃったわね。じゃあ、このハンドを復習してみましょうか」ママが声をかけてきた。
 
マイナーのゲームかNTか
 
「えっ、ブロック?」ボクはきょとんとしてママの顔を見た。
「そう、橋之介がいまやったプレイのことよ。でも、まずはビッドから復習しましょう。
さ、みんな、手を広げてみて」ママに言われて、みんながさっきの手をテーブルに広げた。
 
 
 

「ビッドはいいわね。17点のバランスハンドの橋之介は1NTオープン。ホッキョク君は最初はパスだったけど、10点あるし、4枚メジャーもないからスーツコントラクトはねらわずに3NTとすぐにゲームビッドした。満点よ」ママの言葉をみんながうなずきながら聞いている。
「で、橋之介のプレイだけど、まずハートを勝ったあとにクローバーからはじめたのはなぜ?」ママにそうたずねられて、ボクはボクは考え込んでしまった。「うーんと、ハートは1トリック取ったし、あとはでひとつ、で5つ、クローバーで2つ勝てるから、勝てるものをどんどん取っていけば9個勝てると思ったの。でも、取る順番のことはちゃんと考えてなかったかも…」ボクの声はだんだん小さくなっていった。
「そうね。は気をつけてさえいれば、ちゃんと5つ取れるはずだから、クローバーを先に取って悪いということはないんだけど、のさわり方が失敗だったわね」
「うん、ボクも2回目のをダミーで勝っちゃたときに、そのことに気がついたよ」
「この状態のことをブロックって言うのよ」ママは紙を出して説明を続けた。

 

図1
の2巡目が終わったときにこうなっていたの。AもKもQももう出てるから、本当はぜんぶ取れるはずだけど、Jが勝ってしまうでしょ。そして、ダミーに入れるカードがほかのスーツになかったから、せっかくよくなったダミーのを取れなくなってしまったのよ。こういう形をブロックしてるっていうの」ママの説明をみんな興味しんしんで聞いてる。

「たとえこうなってしまっても、もしまだダミーのクローバーAが残ってたら、クローバーAでダミーに入ることもできましたよね」いつものようにものすごいいきおいでメモを取ってたツキノワ君がつぶやいた。
「そのとおりよ、ツキノワ君。だから、ダミーに確実に入ることのできるカードはいつ使うかをちゃんと考えないとね。こういうダミーに入ることできるカードのことを、エントリーって言うのよ」
「ボクは先にクローバーAを使っちゃったから、は3巡目のときにダミーのAで勝たないといけなかったんだね。絵札が続いてるからどの順番でもいいやって、カンちがいしちゃったんだ」
「そうそう。そういうカンちがいをしてしまうこともあるからこそ、クローバーAを大切にとっておけばよかったわね」
「まったく、橋之介はあわてんぼだからな!人一倍、気をつけてくれよ」ホッキョク君にたしなめられちゃった。「そうだね。ごめんよ、せっかくのホッキョク君のりっぱなダイヤスーツが『肥やしの持ちぐされ』になっちゃったね」ボクがそうあやまると、「またぁ、橋之介君ったら。それを言うなら『宝の持ちぐされ』でしょ!」ってエリーちゃんにまたもやつっこまれてしまった。とほほ、今日はいいとこなしだなあ。
「いまの橋之介は自分のプレイでブロックさせてしまったけど、たとえばA、Kの2枚とQ、J 頭の5枚が向き合ってるときのようにもともとブロックしてる場合もあるから、そういうときにはエントリーの使いどころを本当によく考えないとね。みんな、そういうときにはプレイの順番を工夫してみてね」
「はーい!」みんなで元気よく返事して、次のボードにとりかかった。
 
マイナーのゲームかNTか
 
いつもは3時ごろにママお手製のお菓子でおやつタイムなんだけど、今日はお祭りに出かけるから、おやつなしでボクたちは4時ごろまでブリッジした。
「さ、それじゃ今日はこのくらいにして出かけましょう」ママの声に、カーチャちゃんが「おばさま、ウィニーちゃんにも浴衣を着せてあげてください。私たち、お片づけしてます」とこたえた。よかったー、ブリッジも楽しいけど、そろそろお腹がスースーして落ち着かなくなってきてたんだ。お祭りにはおいしいものがいっぱいあるよね。食べるぞう!浴衣姿の女の子たちはいつもよりおしとやかで、エリーちゃんまでゆっくり歩くんだよ。ボクたち男の子はちょっとじれったかったけど、みんなで神社の方に歩き出したらすぐ、「ワッショイ、ワッショイ」ってにぎやかな声が聞こえてきた。
「おっ、おみこしだ。いいなあ。おい、ちょっとかつがせてもらおうぜ」ホッキョク君がソワソワしだすと、なんとツキノワ君まで、「そうですね。おみこしは日本のお祭りのだいじな要素ですから」なんて、賛成した。
「行こうぜ、橋之介!あとでおやつがもっとおいしく食べられるぞ」おやつ食べてからでもいいんじゃない、と言いたかったけど、ホッキョク君に引っ張られて、ボクもしかたなくうなずいた。
ところが、子どものおみこしをかつがせてもらったら、これがとってもおもしろいの。そりゃおみこしは重いけど、大人のおっきなおみこしに負けないようにみんなで大声で「ワッショイ、ワッショイ」って声をかけながら通りを行くと、見ている人たちが「エライねえ」「がんばって」って声をかけてくれるんだ。大人のおみこしは、いろいろな町内のがたくさん出ていて、おたがいに競争みたいに張りきってたよ。かついでる人も、まわりを歩いてる人も、みんな楽しそうだなあ。ついうれしくなって、神社までずっとおみこしをかついじゃった。
エリーちゃんは「男の子たち、ずるいわ。わたしもかつぎたかったなあ」って残念そう。さすがのエリーちゃんも、浴衣姿じゃ、おみこしはかつげなかったんだね。
神社の参道にきてみると、人がたくさん、お店もたっくさん!ボクはさっそくタコ焼き、焼きそば、ソーセージにイカ焼きを買い込んで、腹ごしらえすることにした。
女の子たちはママと夜店を見て回ることになって、ガラス細工だの、光る腕輪だの、ぬいぐるみが当たるクジのお店だのにキャーキャー言ってる。ホッキョク君、ツキノワ君は、射的か金魚すくいかでモメてる。
ボクはそのあいだ、ひたすら食べまくったよ。屋台の焼きそばは、ソースの匂いがいいよねえ。あっちには大きなかき氷も、焼鳥も売ってるみたい。そうそう、この神社ではポテトの丸焼きや牛肉の串焼きのお店も出るんじゃなかったかなあ。
「橋之介、まだ食べてるのか?次は射的しに行こうぜ。おれ自信あるんだ」「なんと言ってもお祭りでは金魚すくいかヨーヨー釣りですよ。ね、橋之介くん」
「ボクはどっちでもいいよ。でも、食べ物の屋台が多い方へ行かない?」
まだまだおいしそうなものがありそうだから、射的かヨーヨー釣りでもしながら、次のお店をじっくりさがそうっと。あ、帰りには綿アメもはずせないよねー。お祭りってほんと、楽しいこといっぱいだね!
 
今日のきょうくん(教訓)
ブロックには気をつけよう。
エントリーは大切。
持ちぐされるのは肥やしじゃなくて宝。
おみこしサイコー!
 
 
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