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橋之介のブリッジれぽーと

橋之介のブリッジれぽーと(21)


 

 

みなさん、お元気ですか?橋之介です。
ボクは寒いとどうも調子がでなくって、また算数のテストで失敗しちゃった。でも、ツキノワ君に勉強を教えてもらうことになったんだ。お勉強もがんばるよ!
 
ある金曜日の放課後。ボクはくらあい気持ちで職員室にとぼとぼむかっていた。算数のウィルソン先生によばれてるんだ。きっと、ってかぜったい、今日返してもらったテストのことだよ。パパとママに大目玉をくらってからは、ボク、チョーがんばって算数の成績も上がってたのに、今度のテストはなんと30点だったんだ!
ま、冬になってから、なんだかいつも眠たくて、勉強は宿題するのもせいいっぱいだったから仕方ないんだけど…。それに、いま習ってる分数の計算は、とってもむずかしくて、ちんぷんかんぷんなんだ。
職員室に入っていくと、ウィルソン先生はデスクで何かお仕事してた。ウィルソン先生は、大柄でとってもハンサムな若い先生で、学校でも人気者なんだ。学生時代はフットボールの選手で、モテモテだったんだって。
「先生」とよびかけると、先生は「お、橋之介君か。まあ、そこに座りなさい」と言って、椅子を引き寄せた。
「あのう…」「そうだな。よばれた理由がわかってるようだね」
「最近はずっと勉強もがんばってる様子だったのに、いきなり算数のテストが30点に下がるなんて、何か心配ごとでもあるのかい?」先生はおっきな目で心配そうにボクの目をのぞきこんだ。
ほっ!よかったぁ。先生は怒ってるわけじゃないみたい。
「あのう、そのう、心配ごとなんてないです。ただ、いま算数で習ってるところがよくわかんなくて…」
「そうか。ボクの教え方がわかりづらいのかなあ。なんだか、最近、授業のときに眠たそうだしなあ」先生はため息をついた。ちょっと、しょんぼりしてるみたい…。
「えっ、い、いや、そうじゃないと思います!」
ひゃー、眠いのもバレてるんだ。ボクたちクマ属の先祖は冬はずーっと眠って過ごしてたんだから、眠たくたって仕方ないじゃんかあ。先生やホッキョク君みたいに、いつでも元気はつらつぅってわけにはいかないよう~。
「こ、このところ、ちょっと体調も悪くて…。た、たぶん食べ過ぎかなぁ?」なんだか変だけど、ボクはあわててフォローした。先生のせいじゃなくて自分が悪いのはわかってる。 「そうか、体調が悪いのか。眠そうなのは気分が悪かったんだな。ごめんよ」先生はまた心配そうにボクの目をのぞきこむ。「でも、休まずにちゃんと学校にきてるのはえらいぞ。勉強でわからないことがあったら、いつでも聞きにきなさい。帰ってよし!」「は、はい。ありがとうございます。勉強もがんばります。先生、さようなら」ボクはしどろもどろでおじぎをして、職員室を出た。
なんだか先生に悪かったなぁ。ほんとに心配してくれたんだね。ちゃんと算数の復習しなきゃ。パパとママにまた怒られちゃうし…。そんなことを考えながら教室に戻ると、ツキノワ君が帰りじたくをしていた。
「あれえ、橋之介君、まだ帰らなかったの?」「あ、うん。ウィルソン先生によばれてたの。ツキノワ君は?」
「ボクはクラス委員長会議があって。いっしょに帰りますか」
あ、そっか。ツキノワ君はクラス委員長だもんね。お仕事もたくさんあって大変だね。
「で、ウィルソン先生の用事って?」ツキノワ君がたずねる。ちょっと恥ずかしいけど、ツキノワ君には言ってもいいよね。
「うん、算数のテストのことでね。成績下がっちゃったから…」ボクは先生とのやりとりをツキノワ君にひととおり話してみた。
「へえ、ウィルソン先生って、やさしいですね。ますます見直しちゃったなあ」
「ツキノワ君は、今日のテストまた100点だったの?」「あ、う、うん」ちょっと、照れながら、ツキノワ君はうなずく。
「すごいや!分数はボクにはちんぷんかんぷんだよ。こんどわからないところを教えてくれない?」
「もちろん。じゃあ、明日、うちにきてテストの復習と宿題しませんか?明日は、橋之介君のお母さんのブリッジ教室はない日だし」
「ほんとー、いいの?」「うん!それで、勉強のあと、ブリッジはどう?実はうちの両親が最近はまってて。でもうちは3人家族でしょ。4人そろってはなかなか家で遊べないから、お友だちを連れてきてって言われてたんですよ」
「ええー、そうなの?ブリッジもできるなんて、大歓迎だよ!じゃあ、明日ね!」
 
 
その夜、食後のお茶のときに、ボクはパパとママに算数のテストのこと、ウィルソン先生とのお話(もちろん、眠そうってところと体調が悪いという話は、はしょったけどね…)をしたんだ。パパとママにはかくしごとはできないもんね。
「でね、ツキノワ君にわからないところを教えてって相談したら、明日いっしょに勉強しないかってさそってくれたんだ。だから、ツキノワ君のおうちに行ってもいい?」
30点のテストを見ながらボクの話をだまって聞いてたパパが顔を上げた。「うーん、こりゃひどい。でも、こことここは簡単な計算ミスだな。もう30点は取れたはずだぞ。相変わらず、そそっかしいようだな」
「は、はい!すみません」ボクはピンと背筋を伸ばした。
「でも、分数はパパも苦手だったからなあ。むずかしいもんな。しっかり、ツキノワ君に教えてもらってきなさい」
「テストの点が下がったのは困るけど、自分でしっかり復習しようと思ったところはえらいわ。ツキノワさんにごめいわくをおかけしないようにね」ほっ!ママも怒ってないみたい。よかったあ。
「はーい」ボクは元気よく返事をした。
 
 
「こんにちは!」
次の日の午後、ボクはママ特製のサツマイモのパイを持って、ツキノワ君ちに出かけた。
「あら、橋之介君、いらっしゃい。秀太郎もお待ちかねよ。部屋はわかるわね?」
「はい。あ、これママからです」「あら、ハナさんったら。お気をつかわせてしまって、かえって恐縮だわ。ありがたく、ちょうだいしますね。後でみんなでいただきましょう。ママによろしくお伝えくださいな」
 
 
2階のツキノワ君のお部屋でボクたちはさっそく算数のテストの復習を始めた。
「このテストを見ると、橋之介君は通分のしかたがよくわかっていないみたいですね。分数の計算といってもいまはまだ足し算と引き算だから、ポイントは通分だけですよ」つ、つうぶんって、なんだったかな。あせっているボクを見て、ツキノワ君はため息をついたみたいだったけど、そのあと、ウィルソン先生にも負けないくらいていねいに、通分のしかたを教えてくれたよ。
「えーと、それじゃ、こうかな?」「そうそう、橋之介君、できたじゃないですか!その調子で5番と7番もやってみてください」ほんと、ツキノワ君って教えるのが上手だなあ。さすが、先生の息子だね。
「はい、できたよ。今度はちょっと自信があるかも」
「どれどれ…あ、ほんとだ、かんぺきですよ。これでテストの復習は終わりです。すぐだったでしょう?じゃ、この調子で宿題にいきますか」
「わあ、ホントだ、ボク通分できるようになった!よーし、宿題もやっちゃうぞ。ツキノワ先生、よろしくお願いしまーす」
「先生なんて、照れるなあ。橋之介君こそ、やっぱり頭がいいじゃないですか。すぐ理解したもの」
あ、頭がいい…?!そんなこと言われたの、はじめてだよお。もう~、がんばっちゃうぞお。ボクはすっかり燃えてきて、ものすごくがんばって勉強した(と思う)よ。
 
 
トントン。ノックの音がしてツキノワ君のママが顔をのぞかせた。
「2人とも、ずいぶんがんばってるわね。もう4時よ。切りのいいところでおやつにして、それからブリッジしない?」
「わー、もう4時?どうりでおなかが空いてきたと思った!」
「ちょうど勉強も終わったところで、そろそろ下に行こうと思ったところでしたよ」
みんなで居間におりていくと、ツキノワ君のパパも帰ってきてた。
「こんにちは。おじゃましてます」
「おお、橋之介君、いらっしゃい。久しぶりだね。今日はブリッジを楽しみにしていたんだよ」ツキノワ君のパパは、にこにこして立ち上がった。ツキノワ君パパは大学の先生なんだよ。ママも高校の先生。ツキノワ君が頭がいいのは、やっぱりDHCだね!あれえ、ちょっとちがったっけ?
ボクたちが手を洗ってテーブルにつくと、ツキノワ君のママが、ボクのママ特製のパイを切り分けてあつーい紅茶といっしょに出してくれた。パイは焼きたてのようにあったまってて、そのうえ、あんこがたっぷりトッピングしてあるよ!
「うわあ、ボク、あんこだあい好き!」
「そう聞いてたのよ。おさつとあんこは相性がいいわよね」
ご両親もいっしょでボクはちょっときんちょうしていたけど、おやつを食べてお話していたら、だいぶリラックスしてきたよ。
「それで、勉強ははかどったかい?」
「はい。ボク、分数の計算がちんぷんかんぷんだったんですけど、ツキノワ君に教えてもらったらよくわかるようになりました!」
「それはよかったわ」「わからないところをすぐに復習するのはいいことだね。悪い点を取ったって、そうやって前向きに取り組んでいく姿勢があれば、大丈夫だよ」
「は、はい。でも、悪い点取ったのは、『身から出たアカ』ですから…」
はっ!ツキノワ君一家が、みんなで顔を見合わせてる!またやっちゃったあ?
「わっはっは!こりゃ、秀太郎が言ってたとおりだ!」
「身から出たサビ…」ぼそっと、ツキノワ君が言った。
「いいじゃないの。身体から出るのはたしかにアカですもの!」ツキノワ君ママはころころ笑ってる。ボクのことわざの話はツキノワ君ちではすっかり有名なんだね。ボクはまっかになっちゃった。
「さ、じゃあ、みんなでブリッジしようか」
 
いよいよおまちかねのブリッジタイムだ!ダイニングテーブルがブリッジテーブルに早変わりして、緑色のきれいなブリッジ用のテーブルクロスがかけられた。ボードもあるし、スコア用紙と鉛筆までちゃあんと用意してあるよ。ツキノワ君のパパとママは最近ブリッジにはまってて、パパの方は大学の学生さんたちのクラブにも顔を出すようになったんだって。みんな頭がいいから、きっともうだいぶ上達してるんだろうなぁ。ボクもがんばらなくちゃ!
カードドローをしてペアを決めた。ボクのパートナーはツキノワ君だ。最初のボードはツキノワ君がディーラー。1NTってオープンしたよ。ボクは4枚のメジャースーツがなく て12点あるから、すぐに3NTってビッドしたんだ。
 
ツキノワ君はこのハンドを上手にプレイして5メイクした。
「やられたな。5メイクか」カードをボードにしまうと、ツキノワ君一家はみんなでスコア用紙に点数を記入し始めた。ボクも書こうと思ったけど、いつも見てるスコアの点数が書いてある表がないことに気がついた。
「えーっと、3NT5メイクは何点だっけ?」ボクがそうつぶやくと、「660点ですよ」もうスコアを書き終えているツキノワ君が言った。
ハシノスケ
 
「うわあ、さすが計算早いね。ボクはいつもは表を見て書いてるから…」
「ええーっ!橋之介君はいままで自分で計算してなかったの?」めずらしくツキノワ君が大きな声をあげた。
「う、うん。表を見るとすぐにわかるから…」計算してたなんて、ボクの方もびっくりだよ。いままでぜんぜん気がつかなかった。どうりでツキノワ君はいつもスコア書くのが早かったわけだね。ほかのみんなもちゃんと計算してたのかなぁ。
「いつも表があるわけじゃないからね。簡単だから、計算の仕方をみんなでおさらいしておきますか」「そ、そうだね」ボクは内心あせりながら、返事した。
 
 
 
「橋之介君、トリック点は覚えてますか?」
「えーっと、何だっけ?たしかそんな言葉を聞いたことがあるような…」
ふうーっと、大きく息をはき出してから、ツキノワ君はスコア用紙のうしろになにやら書き始めた。
「ディクレアラー側が宣言したコントラクトをメイクしたときに、1トリックについてもらえる点数のことです。メジャースーツとマイナースーツでは点数がちがうんです」
「ああ、そうだったね。メジャースーツはハートのことだね」
「そう、マイナースーツはクローバー。お父さん、メジャーのトリック点は何点ですか?」 「30点だね」
「マイナーは20点よね」ツキノワ君くんのママが続ける。
「あー、だんだん思い出してきた!」ボクも記憶がよみがえってきたよ 。「NTのときも30点だけど、最初の1トリック目には10点がプラスになるんだったよね!」
「そのとおり」ツキノワ君、やっぱり先生みたいだよ。「そして、マイナースーツのコントラクトで1メイクならトリック点は20点、2メイクなら40点というふうに点数は増えていくんです」「メジャーなら30点、60点となっていくんだね」
「そう。そしてこのトリック点にボーナス点を足せばいいわけです」ツキノワ君は説明しながら、表を書いていく。
「ゲームボーナスは500点だったね」よし。ボクもだんだん思い出してきたぞ。
「そう。バルだと500点、ノンバルだと300点ですね」そうだった。ミニブリッジではゲームボーナスはいつでも500点だけど、コントラクトブリッジだと、バルとノンバルで点数がちがうんだった。バルかノンバルかはボードやスコア用紙に書いてあるね。でも、ゲームじゃないと、このボーナス点はもらえないんだ。
「1だとゲームじゃないから、20点しかもらえないんだよね。あれ?でもそんなスコアあったっけ?」
「橋之介君、ゲームじゃないコントラクトでも、メイクしたごほうびのボーナスが50点もらえるんですよ」
「ああ、そうだったね。20+50で70点だった!」70点という数字は思い出したんだけど、ボクはだんだん頭がこんがらがってきた。
「NTだとゲームは3NTから、メジャースーツだとゲームは4から、マイナーだと5からだから、なんだか計算がややこしいね」ボクはため息をついた。
 
 
「橋之介君、ゲームボーナスはトリック点が100点になったときからもらえるのよ」ツキノワ君のママがにっこりしながらそう言った。
「あっ、そっか!メジャーだと3トリックかける4で120点になるから4のレベルからゲーム、マイナーだとトリック点が20点しかないから5までがんばらないといけないんだ」
ボクは、ブリッジを始めたばかりのころ、節子先生に教わったことをだんだん思い出してきた。もう、すっかり忘れてたよう~。
「そう。NTの場合は、最初の1トリック目はトリック点が40点だから3のレベルでちょうど100になって、3NTでゲームになりますね」
「3NTは切り札がなくてプレイがちょっと大変だから、そのごほうびぶんってわけだね!」「そう考えるとわかりやすいわね」
「さっきの3NT5メイクは30点かける5、足す10点で160点、これに500点を足すから、660点ってわけだね」
「じゃあ、こんどはダウンしたときの点数をおさらいしよう」ツキノワ君が続ける。
「あ、これはボクもわかるよ。簡単だもん!」ボクも、ダウンのときはの点数はいつも暗算してたんだ。「ディクレアラーが宣言したコントラクトのトリックを取れなかったら、足りなかったトリックひとつにつきバルだと100点、ノンバルだと50点、相手側にいくんだよね」ボクは胸を張った。「そのとおり。じゃあ、これでもうばっちりですね」
ボクはツキノワ君が書き終えた表を見せてもらった。「うん。説明してもらったらよくわかったよ。これなら簡単だし、ボクにも計算できそうだよ。ツキノワ君、ありがとう!」とお礼を言った。
「よかった。じゃあ、続きをやろうよ!」

そのあと、僕たちはたっぷりブリッジをした。どのボードもちゃあんと自分で計算してスコアを書いたよ。やってるうちにだんだんなれてきて、早く計算できるようになったんだ。でも、ツキノワ君にはかなわないけどね。
今日はいろんなことをお勉強できてよかったなあ。スコアの計算が早くなったことをママにも報告しなくちゃ。算数の点数も、ブリッジの点数も大事だね。ようし、これからもがんばろうっと!
 
 
 
今日のきょうくん(教訓)
親子の遺伝に関係があるのはDHCじゃなくて、DNA
ブリッジにはトリック点とボーナス点がある。
ゲームボーナスはトリック点の合計が100点になったらもらえる。
身から出るのは「サビ」。アカも出るけどね…。
 
 
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